豪華な金沢文化の代表格、金沢箔(かなざわはく)
金箔は寺社の建築をはじめとして、漆器、陶磁器、仏壇、仏具、和服の金銀糸、水引などに使われてきました。現代では、金箔入り化粧品、料理やスイーツを飾る食用金箔なんていうのもありますね。日本の金箔の99%が金沢市で生産されていて、金沢箔は金沢の代表的な伝統工芸と言えます。小学校の授業でも金箔貼り体験をするんですよ。私もその授業を見学したことがあります。しわを寄せずにきれいに金箔を貼るのは難しそうでしたが、地元の工芸技術を体験できるってとても素敵なことですよね。金箔貼り体験ができるお店もありますので、金沢にいらっしゃった折には、ぜひ金箔のしっとりとした輝きに触れてみてください。
金沢の箔は、初代藩主利家の時代にはすでに製造されていたようです。しかしその後、幕府から江戸、京都以外での箔打ちは禁止という命令が出されます。が、加賀藩はこっそり箔打ちを続けていたそうです。そして、幕府の崩壊後、江戸箔に代わって金沢箔が発展していったのです。
乾燥を嫌う箔打ち作業は、湿度が高くて良質な水に恵まれた金沢の土地に適していました。そして、箔打ちというのは、純金に銀や銅をわずかに加えたものを長い時間をかけて打ち続けます。10円玉ぐらいの合金が畳一枚分、1万分の1mmの薄さにまで大きくなるんです。その作業を続ける粘り強さを北陸の職人たちは持っていたんですね。
また、北陸は浄土真宗の信仰の厚い土地で、仏壇や仏具の製造が盛んであったことも、金沢箔が発展した理由のひとつでしょう。
さて、ごぞんじでしたか?金沢のお土産屋さんでは、あぶらとり紙も多く売られていますが、これは、元は金箔をたたきのばす際に間にはさむ箔打紙(はくうちし)と呼ばれる和紙。あぶらとり紙も金沢の箔打ちから生まれたものなんですね。